腎肥大・腎不全で12歳11ヶ月で猫を亡くしましたが、その4か月前に、当院で「健康診断」を受けていました。当院には、猫が5、6歳の時から年2回の健康診断をお願いしていました。しかし、急に元気と食欲がなくなったので、別の病院で診てもらうと、すでに触診で腎肥大に気付いたようですが、X線写真を撮ると、通常の3倍にまで(容積では9倍になります)膨れて、小腸を圧迫していた状況でした。猫には腎不全死が多いので、7~8歳のころから健康診断時にX線検査をしていれば、腎肥大に気がついたはずでした。腎臓病は末期にならないと、数値上、血液検査では出てこず、それよりも尿検査の方が早く出てくるようですが、飼い主にはそのような医学的な知識も経験もありません。当院の動物医は「尿検査と血液検査という『頼まれたこと』しかしていない。その数値上の異常は出ていない。」と、素人である飼い主が「検査方針・治療方針」を決めて依頼しなければならないかのような、体重・体温測定や触診すらしないかのような言い方をされました(実際には当院でも体重測定はしています)。さまざまな飼い主もいるでしょうし、しょせん、ペットも拾ってきたり貰ってきたり、あるいはショップで買ってきたりした「物」にすぎないかもしれませんが、機械ではなく「生命」を宿したものとして、動物医は、医学的知識・技術に加えて、たくさんの動物(の生死)を診てこられた経験を踏まえて、病気の「治療」よりも「予防」にウェイトを置き、ライフステージに合わせたアドバイスや提案をすべきなのではないでしょうか。