🐱猫が「踏んでくる」あの行動、実は深い意味があるかもしれません!
猫と暮らしていると、ふとした瞬間に「なんで今、私のことを踏んだの!?」と思うこと、ありませんか?
寝ているときにお腹の上をスタスタと歩かれたり、足元でわざと踏まれたり──。
この一見不思議な行動には、猫ならではの本能や感情が詰まっています。
この記事では、猫が飼い主の顔や体を踏む理由を、行動学や動物心理の観点から解説し、ペットシッターとしての視点も交えてお届けします。

目次
- 猫が飼い主を踏む行動とは?
- 【理由①】マーキング:肉球からのフェロモンで「あなたは私のもの」
- 【理由②】信頼と安心の証:遠慮のなさは親密さのバロメーター
- 【理由③】甘えや要求のサイン:かまってほしい、気づいてほしい
- 【理由④】通り道としての認識:飼い主=安心できる“床”
- 【理由⑤】子猫時代の名残:ふみふみ行動との関係
- 【理由⑥】不満やストレスの表現:踏むことで気持ちを伝える
- 飼い主ができる対応と注意点
- ペットシッターが見る「踏む猫」のリアルな日常
- まとめ:踏まれることは、信頼の証
1. 猫が飼い主を踏む行動とは?
猫が飼い主の体や顔、足を踏んで歩く行動は、日常的によく見られるものです。
- 飼い主が寝ているときに顔やお腹を踏む
- ソファやベッドの上で、わざわざ人の体を通って移動する
- 足元に寄ってきて、軽く踏んでから去っていく
こうした行動は、単なる偶然や気まぐれではなく、猫の本能や感情表現の一部と考えられています。
2. 【理由①】マーキング:肉球からのフェロモンで「あなたは私のもの」
猫は自分の縄張りや信頼する対象に対して、フェロモンを使ったマーキング行動を行います。
フェロモンは主に頬や口元、尾の付け根、額などの臭腺から分泌されますが、肉球にも汗腺があり、わずかに匂いを残すことができるとされています。
飼い主の体を踏んで歩く行動は、こうしたマーキングの一環として解釈されることがあり、「ここは安心できる場所」「この人は自分にとって大切な存在」といった感情の表れと考えられています。
また、猫は信頼している相手に対して物理的な接触を好む傾向があり、踏むという行動は“親しみ”や“所有感”のサインとも言われています。
これは、縄張り意識と社会的絆の両方が絡んだ複合的な行動です。

3. 【理由②】信頼と安心の証:遠慮のなさは親密さのバロメーター
猫は本来、非常に警戒心の強い動物です。
野生下では、身の安全を守るために不用意な接触を避け、距離を保つことが生存戦略のひとつでした。
そのため、猫が自ら近づいてきて、飼い主の体を踏んで移動するという“無遠慮”な行動は、むしろ「安心している証拠」とも言えます。
猫にとって、飼い主の体は“安全な通路”であり、“信頼できる存在”だからこそ、堂々と踏んで通るのです。

4. 【理由③】甘えや要求のサイン:かまってほしい、気づいてほしい
猫は「踏む」という行動を通じて、飼い主に何かを伝えようとしていることがあります。
- ごはんが欲しい
- 遊んでほしい
- トイレを掃除してほしい
このような要求を、鳴く代わりに“踏む”ことで伝える猫もいます。
特に、過去に「踏んだら飼い主が反応してくれた」という経験があると、学習して繰り返すようになります。

5. 【理由④】通り道としての認識:飼い主=安心できる“床”
猫は本能的に、移動の際には最短距離で目的地に向かうという習性を持っています。
これは、野生時代の名残であり、無駄なエネルギーを使わずに効率よく行動するための知恵です。
そのため、たとえ飼い主がベッドやソファに寝転んでいたとしても、「そこを通るのが一番早い」と判断すれば、ためらいなく体の上を踏んで通過することがあります。
さらに、猫は高い場所や見晴らしの良い場所を好むため、飼い主の体を踏んで高い位置に移動することもあります。
これは単なる通過ではなく、環境を把握するための戦略的な行動であり、飼い主の体を「安全な足場」として認識しているからこそ可能なのです。
こうした行動は「飼い主を信頼しているからこそできること」であり、猫からの「あなたを信じているよ」というメッセージなのかもしれません。

6. 【理由⑤】子猫時代の名残:ふみふみ行動との関係
猫が飼い主の体を踏む行動は、子猫時代に母猫の乳を飲むときの「ふみふみ(ニーディング)」と関連している可能性があります。
ふみふみとは、猫が前足で交互に押すような動きを繰り返す行動で、子猫が母猫の乳腺を刺激して母乳の分泌を促すために自然に行うものです。
この行動は、母猫との絆や安心感と強く結びついており、成猫になっても「安心できる相手」「甘えられる存在」に対して継続されることがあります。
飼い主の体を踏むことで、子猫時代の記憶を呼び起こし、リラックスしているのかもしれません。

7. 【理由⑥】不満やストレスの表現:踏むことで気持ちを伝える
猫はストレスや不満を感じたときにも、踏むという行動で気持ちを表現することがあります。
- ごはんが遅い
- かまってもらえない
- 環境が変わった
こうした不満を「踏む」という行動で伝えることがあるため、頻繁に踏まれる場合は、猫の生活環境や接し方を見直すサインかもしれません。

8. 飼い主ができる対応と注意点
猫に踏まれたときは、基本的には「怒らない」「驚かせない」ことが大切です。
なぜなら、その行動は愛情や信頼の表れであることが多いからです。
ただし、以下の点には注意しましょう:
- 踏まれる頻度が急に増えた場合:ストレスや体調不良のサインかも
- 踏む力が強すぎる場合:痛みを感じるときは、やさしく場所を変えてもらう
- 夜間の踏み歩きが続く場合:日中の運動不足や退屈が原因の可能性あり
9. ペットシッターが見る「踏む猫」のリアルな日常
ペットシッターとして訪問すると、初対面の猫は警戒して距離を取ることが多いものです。
しかし、数回の訪問を経て、猫が自ら近づいてきて、足元を踏んで通るようになると、それは「信頼のサイン」として受け取れます。
特に、シッターが床に座っているときに膝の上を歩いたり、足元でふみふみを始めたりするようになれば、それは「この人は安心できる存在」と認識された証拠。
こうした行動の変化は、猫の心の距離が縮まったことを示す大切なサインであり、ペットシッターにとっても喜びを感じる瞬間です。

10. まとめ:踏まれるのは、猫からの“信頼のしるし”
猫が飼い主の顔や体を踏む行動は、一見すると「気まぐれ」や「わがまま」に見えるかもしれません。
しかし実際には、信頼・愛情・安心・要求・マーキングといった、猫の本能と感情が複雑に絡み合った行動であることが多いのです。
さらに、猫は言葉を持たない分、行動で気持ちを伝えようとします。
「ごはんが欲しい」「遊んでほしい」「ちょっと退屈してる」──そんな要求を、鳴く代わりに“踏む”ことで表現することもあるのです。
このような行動を理解し、猫の気持ちに寄り添うことで、飼い主と猫との距離はぐっと縮まります。
ただ踏まれているだけではなく、猫からの信頼のメッセージを受け取っていると考えると、日々の暮らしがもっと愛おしく感じられるはずです。


