🐶犬の表情はこんなに豊かだった!──感情を読み取るヒントと科学的背景
「うちの子、今どんな気持ちなんだろう?」
犬と暮らしていると、ふとそんなことを考える瞬間があるかもしれません。
しっぽの振り方や鳴き声だけでなく、犬の“表情”にも感情がしっかり表れていることが、近年の研究で明らかになってきました。
この記事では、犬の表情に関する最新の知見をもとに、どんな表情がどんな気持ちを表しているのか、そして飼い主がどう読み取ればいいのかを詳しくご紹介します。

🧠犬の表情は「感情の窓」
かつては「犬の表情は人間ほど豊かではない」と考えられていました。
しかし、近年の研究では、犬も顔の筋肉を使って喜び・怒り・不安・期待・リラックスなどの感情を表現していることがわかっています。
特に注目されているのが、**DogFACS(Dog Facial Action Coding System)**という分析手法。
これは、人間の表情研究で使われるFACS(Facial Action Coding System)を犬に応用したもので、顔の筋肉の動き=感情のサインとして読み取ることができます。
😊犬の表情と感情の対応例
DogFACSを用いた研究では、以下のような表情と感情の対応が確認されています:
- 口を少し開けて舌を見せる → 「うれしい」「リラックス」
- 鼻にしわを寄せて歯を見せる → 「怒っている」「不快」
- まばたきが増える → 「不安」「緊張」
- 唇を舐める → 「期待」「緊張」「不安」
- 耳を中央に寄せる → 「注目」「ポジティブな感情」
- 眉の内側を上げる → 「安心」「リラックス」
これらの表情は、状況や文脈と合わせて読み取ることが重要です。
たとえば、唇を舐める行動は「おやつを待っているとき」にも「怖がっているとき」にも見られるため、周囲の環境や犬の動きとセットで判断する必要があります。

🐾犬の表情は“人間のため”に進化した?
犬は人間と最も長く共生してきた動物のひとつ。
その進化の過程で、人間の感情を読み取る能力だけでなく、自分の感情を“人間に伝える”能力も発達したと考えられています。
実際、犬は人間の顔を見て、怒っている・喜んでいる・悲しんでいるといった感情を読み取ることができるという研究結果もあります。
さらに、飼い主が怒っているときには距離をとり、喜んでいるときには近づくなど、感情に応じた行動を選択する能力も持っています。
これは、犬が人間との関係性の中で「表情を読み、表情で伝える」ことを学び、進化させてきた証ともいえるでしょう。
🧑🤝🧑飼い主との絆が表情を育てる
犬の表情は、飼い主との関係性によっても変化することがわかっています。
日本獣医生命科学大学の研究では、犬の表情を読み取る実験において、飼育経験のある人の方が犬の感情を正確に読み取る傾向があることが示されました。
また、飼い主が犬に対して安心感や信頼を与えていると、犬の表情も柔らかく、穏やかになる傾向があります。
つまり、犬の表情は“鏡”のように、飼い主との関係性を映し出しているとも言えるのです。

🐶表情を読み取るためのヒント
犬の表情を読み取るには、以下のポイントを意識するとわかりやすくなります:
① 顔のパーツごとに見る
- 目:まばたきの頻度、目の開き具合
- 口:開いているか、舌が見えているか
- 耳:立っているか、寝ているか、動いているか
- 眉・額:しわの有無、筋肉の動き
② 状況とセットで考える
- どんな場面でその表情をしているか?
- 直前に何があったか?(音・人・他の動物など)
③ 体の動きと合わせて見る
- しっぽの振り方、姿勢、動きの速さなども感情の手がかりになります。
🐕犬種による違いもある
犬の表情は、犬種によっても見え方が異なることがあります。
たとえば、ブルドッグやパグなどの短頭種は顔のしわが多く、表情が読み取りにくいことも。
逆に、ラブラドール・レトリバーや柴犬などは、表情筋が発達していて、感情がわかりやすい傾向があります。
ただし、どんな犬種でも、飼い主との信頼関係が深まるほど、表情は豊かになるといわれています。

📝まとめ|犬の表情は“心の声”
犬の表情は、単なる顔の動きではなく、心の声そのものです。
口元のゆるみ、耳の動き、目の輝き──それらすべてが、犬の感情を私たちに伝えてくれています。
そしてその表情は、飼い主との絆によって育まれるもの。
日々のコミュニケーションやスキンシップを通じて、犬は「この人には気持ちを伝えてもいい」と感じるようになり、表情も豊かになっていくのです。
犬の表情を読み取ることは、単なる観察ではなく、心を通わせる第一歩。
ぜひ、うちの子の表情をじっくり見てみてください。
そこには、言葉以上の愛情と信頼が、きっと込められているはずです。


